はじめに
今回はAWSの中でもよく使われる、仮想サーバのEC2の無料枠について解説します。
EC2とは
EC2(Elastic Compute Cloud)は、ひとことでまとめると仮想サーバーサービスです。
必要なときにサーバーを立ち上げ、使った分だけ課金される従量課金制で、CPUやメモリのスペック、OS、ストレージなどを自由に選んで構成できます。
他のAWSサービス(S3、RDS、VPCなど)と連携して使うことができ、一時的な検証用途から本番システムまで幅広い用途で使われています。
EC2の無料枠 (東京リージョン・2025年7月8日時点)
概要
EC2の無料枠の大きな枠としては以下の2つ挙げられます。
- AWSアカウントを制作してから12ヶ月の間、1ヶ月に750時間動かす分まで無料
- 同じく12ヶ月の間、EBSと呼ばれるEC2用のストレージが30GBまで無料
しかし、両方ともに細かい指定や注意事項があります。
それぞれ見ていきましょう。
EC2無料枠の条件
細かい条件として以下の2つがあります。
- OS
- インスタンスタイプ
OSの制限
無料枠で使えるOSには制限があります。
使えるOSは以下の通りです。
- Amazon Linux 2023 AMI
- Amazon Linux 2 AMI
- Ubuntu Server 24.04 LTS
- Ubuntu Server 22.04 LTS
- Microsoft Windows Server 2025 Base
- Microsoft Windows Server 2025 Core Base
- Microsoft Windows Server 2022 Base
- Microsoft Windows Server 2022 Core Base
- Microsoft Windows Server 2019 Base
- Microsoft Windows Server 2019 Core Base
- Microsoft Windows Server 2016 Base
- Microsoft Windows Server 2016 Core Base
- Red Hat Enterprise Linux 10
- Red Hat Enterprise Linux 9
- SUSE Linux Enterprise Server 15 SP7
- SUSE Linux Enterprise Server 12 SP5
- Debian 12
EC2のOSを選択する画面で「無料利用枠の対象」と書いてあれば問題ないです。

迷ってしまった場合は、Amazon Linux 2023かUbuntuを選べば問題ないです。
Amazon Linuxは文字通りAmazonが提供するLinux、Ubuntuはオープンソースで提供されているLinuxです。
インスタンスタイプの制限
インスタンスタイプとは、簡単にいうとEC2のスペックを決めるものです。
非常に多い種類から選べるのですが、無料枠の場合はt2.microのみとなります。
t2.microを利用できない場合、t3.microを利用できるらしいです。(公式の説明)
OSの時と同じく、インスタンスタイプを選択する画面で「無料利用枠の対象」の文字があればOKです。

EC2用のストレージ(EBS)の条件
EC2を作成するときに、EBSと呼ばれるEC2用のストレージも一緒に作られます。
その際にEBSのタイプによっては無料枠の制限から外れてしまいます。
無料枠の対象となるタイプは以下の通りです。
- 汎用SSD (gp3)
- 汎用SSD (gp2)
- マグネティック (標準)
デフォルトでは汎用SSD (gp3)が選択されているので、よっぽどの事情がない限りは変える必要はありません。
EC2の無料利用枠を使う上で気をつけたいこと
先ほど紹介した条件に加え、注意したいことを2点紹介します。
1ヶ月750時間の無料枠は全インスタンスの合計
EC2は「AWSアカウントを制作してから12ヶ月の間、1ヶ月に750時間動かす分まで無料」と紹介しましたが、これは1インスタンスの量ではなく全体での制限になります。
1ヶ月を31日とし、ずっと稼働し続ける場合を考えてみます。
1台動かす場合は、31日 x 24時間 = 744時間となり無料枠の範囲内になります。
2台動かす場合は、31日 x 24時間 x 2 = 1488時間となり、750時間をオーバーした残りの738時間分については課金の対象となります。
目安としては、1台のインスタンスを1ヶ月稼働し続けられる量だと覚えておきましょう。
EC2を削除する時はEBSのチェックもお忘れなく
EC2の2つ目の無料枠として、ストレージ(EBS)が30GB分無料になる話もしました。
このEBSですが、EC2を削除(終了)した場合に残る場合もあります。
デフォルトでは8GBがEC2一台に割り当てられるため、もし消し忘れが3台分あってそこに追加でインスタンスを作成したら…
8GB x 4台分 = 32GBとなり30GBを若干オーバーしてしまいます。
オーバーした部分はもちろん課金の対象です。
消し忘れがあるとこのように料金がかかってしまうので、注意しましょう。
まとめ
今回はEC2の無料枠について解説しました。
まとめとしては、
- 1台のインスタンスを1ヶ月稼働し続けられる時間がアカウントを作成してから1年間無料になるということ
- OSやインスタンスタイプに制限があること
- EC2用のストレージ(EBS)にも無料枠があり、気を使う必要があること
を理解していただけたら幸いです。
ここまで見ていただきありがとうございました。